序章──黎明期
ここに並ぶ書は、すべて「黎明期」のものです。
書き手たちは今、「型」を知る前に、筆が紙に触れる「筆触」そのものを模索し、楽しんでいます。まずは、書を好きになってもらいたいからです。
そのために黎明期の間は、あえてしないことがあります。
ディレクションをしない。
書き方を指示せず、本人の身体から出る線をそのまま残します。
セレクションをしない。
見える人が見える人の基準で「良い書」を選ばず、生まれた書は基本的にすべて掲載します。
墨を立体にしない。
完成した書に本人たちが触れられるよう、書を立体的にする工夫ももちろん検討しました。ただ今の彼らは、結果よりも、書くプロセスそのものを楽しんでいるように見えること。そして書く墨そのものを盛り上げれば、筆の走りが変わり、いまの伸びやかな運筆の生命感を損なうことも危惧しています。完成した書を後から立体化する道もありますが、視覚の表現をそのまま凸にしても、触れて伝わるとは限りません。触覚での鑑賞は、丁寧に設計したい課題として残しています。良いアイデアがありましたら是非教えてください。










